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挿絵

「え?」
 問い返しつつも、慶一郎の目はつい正直に、隣の間の布団の方へ走った。
「所詮わっちのようなものは、主さまの歯には合いんすめへが……どうぞ、堪忍しておくんなまし」
 花魁は妖艶な微笑みを浮かべつつ、型通りの床入りの挨拶を言った。
 その時の慶一郎は、不覚にもポカンと口を開けていた。
 これは無茶だよ、と思っていた。今日初めて遊廓に登ったばかりの慶一郎が、いきなりこんな上玉を相手にするなど無謀の極みだ。
 ──そもそも、他人の金を当てにしているのが間違っている。
 慶一郎が自分の稼いだ金で、自分の甲斐性でここにいるのなら、もっと堂々と振る舞えただろうが、事実は違う。これはまだ名前も知らない「御仁」とやらの奢りだ。そういう事実を無視して偉そうな顔をするような図々しさは、慶一郎にはなかった。
 そう考えるうちに、慶一郎は我ながら自分の滑稽な立場が愉快になってきて、笑い始めてしまった。
「アハハハ──まいった。こりゃあ、降参だ」
「……?」
 一体、何に降参したというのか──花魁は不思議そうな顔をしていたが、慶一郎はその点については特に説明しなかった。
「いやいや姐さん、歯に合わねえのはオレっちの方さね。オレはただの火消し人足で、こんなご立派なお座敷で遊べるような大物じゃ

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