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 鋭く振り下ろされた狩人の短刀は、しかし、地の草を刈るだけで終わった。
二発の銃弾に傷つき、瀕死の状態で倒れていたはずの少女の体が、一瞬のうちに消えている。狩人は混乱した──もしかしたら、あの赤い瞳を見た時点で、すでに幻術に囚われていたのかと恐れた。
「股の下、後ろだ!」
 後方で火縄銃の再装填をしていたもう一人が、狩人に呼びかけた。その注意だけで、狩人はハッと気づいた。短刀を振り下ろすあの一瞬、狩人は罪悪感からつい目を閉じてしまった。その、文字通り瞬きほどの隙を逃さず、あの妖狐の少女は狩人の股の下を潜って、視界の外へ逃げたのだ。
 狩人は可能な限り素早く振り向いたが、すでに手遅れだった。
 狩人の股の下をすり抜けた少女は、振り向かず地面に両手をつき、両脚の後ろ蹴りを放った。少女の両脚は、ちょうど振り向いたばかりの狩人の胸板を直撃した。熊の体当たりを受けたような衝撃が狩人を貫き、大きく吹き飛ばされる。
 吹き飛ばされた狩人の体は、やわらかい草の地面を転がって、大の字に伸びた。手も足も動かせない──薄れていく意識の中で、狩人は辛うじて首を動かし、相棒を見た。
 もう一人の狩人は、再装填の済んだ猟銃を構え、少女を射殺しようとした。しかし、地面に手足をつけ四つに這いながら駆け寄ってくる少女の体勢は、あまりに低すぎて捉えどころがなく、また素早すぎた。

 満足に狙いをつけられないまま、焦りのあまり、引き金にかけた指が動いてしまう。銃声が虚しく響き、放たれた弾丸はただ地面を引っ掻くだけに終わった。
 赤い爪を鋭く尖らせつつ、少女が右腕を振るった。もう一人の狩人はなんとか猟銃でその攻撃を受け止めたが、銃は撃ち砕かれてしまった。どうせ次の弾を込める暇はなかっただろうが、完全に勝機は消え失せた。
 ──ああ、これは、殺される。
 二人の狩人は、同時に死を覚悟した。
 先に死ぬのは猟銃を壊された方だろう。すでに首筋へ爪を突き立てられていて、少しでも余計な身動きをすれば、スパッとやられる状況に追い詰められている。
 ──あいつが死ねば、次は俺だ。
 一方、先に打ち倒された狩人には、もう指一本動かす力もない。せめて相棒の最期を見届けようと、辛うじて意識を保っているのが精一杯だ。
 少女は、ほんの少し指先に力を加えるだけで、目の前の狩人を殺せた。それは卵を割るよりも簡単な事だった。
「……」
 けれども、結局、少女は狩人を殺さなかった。
 少女は、ひどく悲しげで臆病そうな表情を浮かべて、狩人の首筋へ突きつけていた右腕を戻した。
 そのまま、戦闘に勝利したはずの少女は、明らかに怯えた表情と

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