今回は書き直しです。
格闘モーションにおける打撃のパワー感に関して、語ってみたいと思います。
基本的に打撃のパワーの強さは、リアクションで表現されます。
つまり、
攻撃側がどんなにパワーのありそうな、打撃を加えても、
やられる側が、片手でかるく受けたりすれば、それは威力がないように見えます。(または、受け側が、とっても強いか)
逆に、デコピンだけでも、やられた相手が吹き飛ばされれば、ものすごいパワーを持ったデコピンということになります。
とはいっても、
やはり、打撃を加える側にも説得力のある動きでないと、リアクションと合わなくなってしまいます。
それでは、どうやって、攻撃側のパワー感を表現すればいいでしょうか?
その手段の一つにアニメ業界用語で言うところの「のこし」があります。
このブログで「のこし」は何度も使われているワードですが、
あまりきちっと説明してないように思います。
そこで、
「のこし」を説明したくて、インターネットで検索してみたのですが、
これが意外に出てこない。
「のこし」ってあまりメジャーじゃない用語ないのかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=RmouMGKa8AM
↑
こんな動画がありました。
布を振った時に、布の動きが腕の動きに遅れるようにして動く
これが「のこし」です。
「のこし」とは何かを考えて見ます。
実は「のこし」とは「慣性の法則」なのです。
以前にもかきましたが、
慣性の法則とは、
「物体に力がはたらかないとき(または力がつり合っているとき)
・静止していた物体はいつまでも静止している
・運動していた物体はその速さで等速直線運動を続ける
だそうです。詳しくはこちら↓(引用元)
http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/undo1.html
また、この動画をみると、「のこし」が慣性の法則であることがわかりやすいと思います。
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0020b/movies/swf/g7.swf
末端の質量が、その場に留まろうとして起こるのが、
「のこし」なのです。
「のこし」が慣性の法則であることがわかると、
「のこし」の大きさは、
末端の質量、末端までのやわらかさ、根元の移動スピードの速さで決まります。
なぜなら、
同じ「スピード」と「柔らかさ」なら、末端の質量が大きいほど「のこし」は大きくなりますし、
「質量」と「やわらかさ」が同じなら、「スピード」が速いほうが、「のこし」が大きくなります。
さらに、
「質量」と「スピード」が同じなら、「やわらかい」ほうが「のこし」が大きくなるのは
わかりますよね?
つまり、末端がまでがより柔らかく、末端の質量がより大きく、根元のスピードがより速いほど、
「のこし」がより大きくなるということです。
逆にいえば、
「のこし」が大きいほど、末端の質量が大きく、根元の移動スピードが速いことになりますし、
見ている人は、経験からそう感じます。
そして、物体の運動エネルギーが
質量 m と速さ v の2乗に比例することは、人はなんとなく経験でわかっていますので、
「のこし」が強いモーション=打撃力の強いモーション
と感じるわけです。
ここのあたりが、単なる時間を早回ししたモーションでは、
やっぱり早回しに見えてしまう理由があるのではないかと、考えています。
(正確には研究中)
ウチのアニメーターの協力を得て、完成したフェイシャルアニメーションマニュアルには55項目あります。
外注さんに表情アニメーションをお願いする時には、それを読んでもらってかつ、
役者さんに演技してもらったビデオを参考にして、表情アニメーションをつけてもらうのが、通常です。
社内のスタッフにアニメーションしてもらうときには、実写のサンプルはあまり使いません。
そのマニュアルには、こんなことが書いてあります。
●顔を固定したまま、上を見上げるときは眉毛も上がる。
●基本的に、目線が顔に対して固定しないように、目の真ん中に留まらないように、気をつけてください。真ん中にあると、人形のように見えてしまう。意図的に、目が真ん中にならないように、アニメーションを設計すること。
●目はゆっくりは動かない。
●目が上下に動く時は、マブタも上下に動く
●人の顔を見つめる時は、1-3フレで動いて、止まって1秒ぐらい。再び、1-3フレで動く。のタイミングで 相手の顔の右目→左目→口の上をターゲットが移動すると良い。
●マバタキをたくさんすると、なんとなくイキイキしているように見えるのですが、大量のマバタキは芝居の邪魔になります。(まばたきをたくさんするのが目的の演技の場合はのぞく) 基本的には、4秒ぐらいの1カットにマバタキは1回のみとしてください。
●瞬きの時は、マユを動かさないでください。意識的に、目をつぶる時はマユを下げてよいのですが、マバタキの時はマユはうごかさないでください。
●クチパクは音で打たないように注意する。特に母音で打たないように注意してください。
特に言葉の流れの中での「ウ」や「イ」にとくに注意してください。
たとえば、同じ「イ」でも、挨拶(アイサツ)と恋仲(コイナカ)
では口の形が違います。前後の母音の音で形が変わるのです。
土曜日ですね。
笹原和也です。
さきほどまで、外注さんの作ったアニメーションのカメラを直しておりました。
通常であれば、自分ではやらずに文章だけで指示するのですが、
今回のアニメーションは
走っている人をカメラが追いかけるという、やや複雑なアニメーションだったために、
自分で作ってみないとわからなかったのです。
自分でやってみないとわからない
というのは自分が未熟なゆえで
本当はやらなくても想像で答えが出せるのが正しいのです。
自分で直してみて
逆に悪くなったりすると目もあてられませんが、
いちおう、スピード感が出たと思うので、よかったです。
そして、外注さんのアニメーションを勝手にいじってすみません。
おなじキャラクターアニメーションでも
カメラワークのつけ方次第で、
スピード感を出したり、
臨場感を出したりできます。
僕のカメラワークのスタイルは
レンズは長め、
カメラターゲットの移動は大きめ、
カメラポジション(位置)はなるべく動かさない
です。
CG屋さんは広角レンズを使う方が多いので、
僕はあえて、望遠レンズをつかって、差別化をしています。
なんつって、単に広角レンズの絵が生理的にイヤなだけなんですけど。
また、
スピード感を出したい時は、
カメラのポジションはなるべく動かさない。
ということを心がけています。
たとえば、
カメラと被写体が同じ速度で動いてしまうと、
地面など、近くに対象物がないと、被写体が動いていることが
わかりづらくなってしまうからです。
だたし、
今の説明はスピード感が出なくなりやすいメカニズムを説明したまでで
実際には、
カメラが被写体と同じ速度で動くのは
よくやります。
NGなのは、カメラのポジション(位置)の移動に、
一定の法則性を持たないことです。
あと、
僕がカメラワークをつける時に
大事にしているのは、
被写体をキッチリ画面に収めすぎないことです。
なるべく、自然に外すようにします。
これが意外に難しいんですよ。
なぜなら、
フレーミングが単にヘタになってはいけないからです。
カメラマンの気持ちとしては、ちゃんとフレームに入れたいんだけど、
なんらかの事情で外れてしまう。
それを表現します。
これがなかなかむずかしい。
以前、キャットシットワン ジ・アニメーテッドシリーズを作っていた時には
揺れすぎず、揺れなさ過ぎず、
さらに、前後のカットとつなげて、
揺れ具合が合っているかを確認するんですが、
1日ずっとやっていて、3カットぐらいしか出来ないこともありました。
(何日も泊り込み)
揺れすぎて、そのカットの伝えたいことがわからなくなっていしまっては
いけないのも、難しかった記憶があります。
また、
カメラが揺れる、そのなんらかの事情を考えるところも
難しいのです。
なんにも理由がないのに揺れると不自然に見えることが多いですから
(意外と自然に見えることもあります。)
一例を挙げますと、
・キャラクターが動いたのに追いつけなかった。
・キャラクターが視線を変えた。それにつられて動いてしまった。
・キャラクターのが止まったのに、カメラは止まりきれなかった。
・ズームアップ、ズームバックした直後
・なんらかの衝撃があった。
などなど、(これ以上は企業秘密w。)
このようにして、カメラワークを揺らすことによって、
アニメーションの臨場感がぜんぜん違います。
簡単にはマネできませんぜ!
へっへっへ!
どりゃー
笹原和也です。
アニマはスタッフ数が多いので、
僕だけがディレクションするわけではなく、ディレクターと名のつく人はたくさんいます。
また、大きなプロジェクトでは、
アニメーションチーフと呼ばれる、
僕の補佐として、アニメーションの指導をする人もいます。
僕はそのシーンの求めている芝居や感情を説明し、
上がってきたものに対して、アニメーションが足りているか足りていないか、
足りていなければ、どんなところが足りていないかを説明し、
足りていない部分をどうやったら実現されるかは
アニメーションチーフが実現プランを考え、担当アニメーターに指導します。
また、スタッフさんが直接に学生さんを指導することもあります。
僕が指導する立場となる人間に
注意していることは
「使う言葉はなるべく平易なものにしろ」
ということです。
「高い」「低い」「速い」「遅い」「長く」「短い」「重い」「軽い」などなど、あと、数字です。
誰が聞いても、意味を取り違えない言葉を使うように指導します。
逆に
使ってほしくない言葉のひとつに
「しなやか」があります。
「しなやか」はgoo辞書によると
(1)柔軟で、弾力に富んでいるさま。よくしなうさま。
(2)動作・態度に角張ったところがなく、なよやかなさま。たおやかで優美なさま。
ということなのですが、
人によっては、「しなやか」の意味を
「やわらかい」ぐらいにしか認識していない人がいると思います。
そんな、
人によって捉え方が違う可能性が高い言葉を使うと、
誤解の元になっちゃいます。
また、
僕は
「アレ」とか「ソレ」とか、指示語を連発するのもあまり好きではありません。
これも、
誤解の元だからです。
クライアントさんのことを「むこうさん」っていうのが特にきらいですw。
(おわり)
こんばんわ
時間がなくて
カップヌードルを食べました。
笹原和也です。
僕はたいへんな見落としをしていました。
それは
アニメーションの世界において
「すべての棒状のものはしなる」ということです。
モップだって
ゴルフクラブだって、
槍だって
刀だって、
しなる。
鉄で出来た、一見、しなりそうにないモノでも、
高速で動かすと、しなる。
↓ゴルフクラブのしなり(逆にしなっていて、ビックリします。)
http://www.youtube.com/watch?v=gv8z6rKlMT8
しなることで、
動きのダイナミズムはより増幅されます。
やりすぎるとやわらかく見えちゃうけど。
と思って、「カウボーイビバップ:天国の扉」の
スパイクのモップを使った格闘シーン(始まって42分あたり)を見てみたら、
1フレームたりとも、しなってなかったですw。
(コマ送りで見ました。)
意外でした。
この格闘シーンはアニメ作画の格闘シーンのなかで、
もっとも好きなシーンのひとつです。
今日は帰れないかもしれないなあ・・・。
オラ、
CGアニメでアクションシーン作らせたら、日本一になるだ!
今気づいたけど、
「しなやか」の語源って、もしかして「しなる」か?!
おしっこがまんしてブログ書いています。
笹原和也です。
10月24日土曜日は
お昼に
スカイバスという観光バスに子供と乗ってきました。
普段くるまに乗りませんので、
築地や銀座が並んでいることがわかって、おもしろかったです!
夕方からは
アクション俳優の岡本良史さんがお仲間と稽古をするというので、参加してきました。
岡本さんはメタルギアソリッド4で「オールド・スネーク」のモーションキャプチャーをやられた方です。
久しぶりの稽古だったのですが、肩周りが筋肉痛です。
アクションといえば、今日は刀の握りについて説明しましょう。
僕が刀による斬りあいのアニメーションをディレクションするときに重要視することは手の握りです。
腕の振りは、素人の人でもそれほど間違えませんし、さほど気になりませんが、
握りに関しては、無頓着なことが多いです。
まず、
知っておいて欲しいのは
手の可動域が意外に狭いってことです。
手の平、手の甲、方向は90度近く曲がるのですが、
親指方向、小指方向の可動域は結構狭いです。
手のひらに対して、直角に刀を持った場合。僕は「ガンプラ持ち」と読んでいます。(最近は斜めに持つこともできるようですが、昔のガンプラはコブシに対して、垂直に刺さってました)
この持ち方では自然な斬る動作ができません。

手首の可動域としては、これが限界です。

これよりも刀を寝かせたかったら、握りを変えないといけません。(武道的に正しい握り方かどうかはわかりませんw。)


刀で相手を指差したかったら、これぐらいまで寝かせます。

マンガ「シグルイ」以降、柄のお尻を持つ握り方が流行っているような気がします。(武道的に正しい握り方かどうかはわかりませんw。)

(あれ、おしっこしたくなくなってる!)
僕は会社の部下と三人で演劇部をやってまして、演技の勉強をしています!
演技の勉強といっても、アニメーターとして、演出家として必要な範囲でやっている程度なので、発声練習などはしていません。
実践あるのみで、具体的には、コントの練習をしています。
我が家という、お笑いトリオがいるのですが、彼らはわりと演技派なので、彼らのコントの摸倣をして勉強しております。
どうせやるなら、発表の場が欲しいので、忘年会で披露する予定です!
前回やったのは、去年の夏だったので、一年半ぶりですよ!
その時は随分とウケまして、自分達で考えた時とは、全然違っていて、プロのネタって、すごいなーと思いました!
ぼくが演技の勉強の時に一番気にするのは、今のところ、その状況を想像することですね。アニメーションでいうところのセカンダリーモーションを想像することを主目的にしています。
とくにセリフがない時の、演技が難しいですね。
自然に振舞うのが難しいです。
とはいっても、
今は演技になれることで精一杯なんですけどね。
こんにちわ
腹が減りましたよ!
笹原和也です!
CGアニメーターを志す人の中でも意外と知らない言葉「イーズイン・イーズアウト」
これがあるだけで、アニメーションがずいぶんと良くなります。
イーズインとは動き出すときはだんだん加速してく
イーズアウトとは止まる時はだんだん減速していく
ことを指します。
そこで、
イーズイン・イーズアウトをわかりやすく説明しているページを発見しました。
Dynamic Infomation Graphics
http://www.gege-channel.com/phd_fig/index.html
多摩美術大学 美術学部 情報デザイン学科の原田泰さんという方が作られたページのようですが、
ここの第6章の部分が、たいへんわかりやすく
イーズイン、イーズアウトを説明してくださっています。
CGでアニメーションを作るときはモーションのすべてに、このイーズインイーズアウトを適用してください。
(壁に当たって跳ね返るとかは例外ですね。)
よろしこ!
電話口で自分の名前を正確に伝えるのが苦手な
笹原和也です。
CGアニメーションを勉強する上で、僕がもっとも効果的だと思っている
DVDを紹介します。
荒木シゲルさんの
「荒木シゲルのアニメーションサイエンス」です。
荒木シゲルさんのブログの自己紹介によれば「パントマイムを教えたり、CGアニメーションの仕事をしたり、キャラクター作りの本を出したり、モーションキャプチャーのアクターをやったりしてます。自称社長。」だそうです。
これでは、どういう人なのか、よくわからないと思うwので、
僕なりに解説しますと、
僕が荒木さんのスゴイと思うところは、パントマイムの技法をCGアニメーションにも使えると気づいて、それを実際にやってみて、それをわかりやすく教えているところです。
パントマイムの技術はアニメーションの技術と似ていると考えた人は多いでしょうが、
それをこのような形にした人は、僕が知る限り荒木さんしかいません。
CGアニメーターを目指す人にとっては、
目からウロコのことがイッパイだと思います。
ぜひ買って観てみてください!
これを見れば、絶対にうまくなりますヨ。
東京コンテンツマーケットに来ています。
笹原和也です。
僕がコンピューターグラフィックスのCGアニメーションを演出する時、
なぜだか、
僕は広角レンズ(視野角の広いレンズ)で撮られた映像が好きではありません。
なるべく、焦点距離の長い(視野角の狭い)レンズを使うようにしております。
スタッフさんが広角レンズをつかって来た場合は、
なにか意図が無い限り、
とにかく焦点距離を長くする(視野角を狭くする)よう言います。
背景作成班に言うには、
「望遠レンズを使うと、背景が拡大されてしまうので、
細部の作りこみが必要になるから困る」とも言います。
それでも僕は焦点距離の長いレンズを使うわけです。
その理由はうまく説明できないのですが、
とにかくなんだか気持ち悪いのです。
「人物にパースがつきすぎて気持ち悪いのかな?」
と思ったりしましたが、あんまりピンとこなかったのです。
でも、
こないだ、なんだか腑に落ちるテキストを読みました。
白石運送さんのところで紹介されていたのですが、
西澤 晋 さんという方が書かれた
「アニメ製作現場のお話」というページです。
http://members2.jcom.home.ne.jp/0914488901/anim.html
その1からその4まであります。
誤解の無いよう、それを一通り読んでから、このブログの続きを読んでほしいのですが、
その中の一文で
「レンズの口径が大きくなればなる程、画面 は映画的にドラマチックになってくる。」
とあります。
書かれている文章すべてに同意したわけではありませんが、
僕はなんだかとっても腑に落ちたのです。
「ああ、だから、僕は焦点距離の長いレンズを好むのかあ」と
たぶん、
パース感の強い画面が劇中に使われることに
強い違和感を感じるからですね。
ちなみに、
被写体のパース感はレンズの長さで決まるわけではありません。
被写体とカメラの距離で決まります。
だから、
「同じ距離から撮った」、
望遠レンズで撮ったものと
広角レンズで撮ったもののパース感は同じです。
広角レンズで撮ったものの中央をトリミングしたものが望遠レンズだと
考えても、さしつかえないと思います。
(画面の端はゆがみが大きくなりますので、中央に限ります。)
けれども、望遠レンズは視野角が狭い分、下がらないと、被写体の全貌が撮れません。
逆に
広角レンズは視野角が広い分、被写体にしっかり近づかないと、被写体が画面に対して、小さくなってしまいます。
だから、結果的にレンズによってパース感がちがうのですね。
僕はパワー感のある絵がほしい時は
被写体を大きく撮ります。
その時に、広角レンズを使って近づいて撮ると、なにか違うのです。
もちろん、望遠レンズを使って撮ると
「遠くから見ている感」も出ちゃうのですが、
それでも、臨場感的には「遠くから拡大して撮る」ほうが
臨場感があるように感じていたのです。
また、実験してみるかなあ。